【連載企画②】日本のウロギネ専門医 野村博士によるUI講座

UIはさまざまな要因によって
誰にでも起こりうるもの

※「UI」とは、「Urinary Incontinence(カタカナ表記:ユリナリー インコンチネンス)」の略語で、「尿失禁(尿もれ)」を意味する用語です。
P&Gでは、「尿もれ」に対する理解が深まり、適切なケア方法がより多くの人に広まることを願い、「UI(尿もれ)」啓発活動にも努めてまいります。

UI(尿もれ)のタイプは大きく腹圧性尿失禁と切迫性尿失禁の2つ

今回はUI(尿もれ)について、具体的にご紹介していきたいと思います。ひと言にUI(尿もれ)と言っても年代や原因はさまざまですが、そのタイプは大きく2つに分けられます。

その1つが、加齢や妊娠出産を期に骨盤底筋群(こつばんていきんぐん)が衰えることで起こる腹圧性尿失禁です。私は“ぐらぐら尿道”と呼んでいるのですが、尿道を支える骨盤底筋が緩み、尿道がぐらぐらになっていると、お腹に力が入ったときに膀胱が圧迫され、尿もれが起こりやすくなります。 例えば、運動不足の人や痩せていて筋力が弱い人は、骨盤底筋群も弱っている場合があり、逆に太っている人は脂肪により膀胱が圧迫されやすいといえます。また、便秘気味の人は排便時のいきみが骨盤底筋群に負担をかけ、衰えにつながっている可能性も。さらに、重いものをもったり、人の体重を支えたりするような職業や生活習慣の方も腹圧がかかりやすく、腹圧性尿失禁のリスクがあるといえるでしょう。 ちなみに腹圧性尿失禁の人は、くしゃみや咳をきっかけにUI(尿もれ)が起こり、それを自覚することもあります。

もう1つが切迫性尿失禁。こちらは急に我慢できないくらいの尿意を感じ、トイレに間に合わないことで起こる尿失禁です。 寒さや冷えでなく、冷たい水を触ったときや水分補給をたくさんしたあと、水が流れる音を聞いたときなど、尿を意識するものに反応して尿意が起こり、トイレに間に合わない、というのも切迫性尿失禁の症状といえます。これは膀胱が過剰に働き、暴走するため、抑えきれないほどの尿意を急に感じて失禁してしまう場合と、“カチカチ膀胱”のいずれかが原因です。 “カチカチ膀胱”とは、膀胱を構成する筋肉が硬くなり、伸縮性を失うことによって尿を一定量ためられなくなった状態で、尿が少したまっただけでも敏感に尿意を感じるため、頻尿になってしまいます。 また、デスクワークなど、座りっぱなしの状態が続くと骨盤がうっ血しやすく、それが頻尿を促すので、これも切迫性尿失禁の原因になります。 加齢などに関係なく、UI(尿もれ)はどの年代にも起こりうるものですが、特に妊娠出産経験のない若い女性のUI(尿もれ)は、切迫性尿失禁である場合が多いと考えています。

野村先生QOL

また、尿道がゆるみやすい腹圧性尿失禁膀胱が硬くなっている切迫性尿失禁両方の要素が重なったUI(尿もれ)を混合型尿失禁と呼びます。この場合は、臓器が下がってしまうことで、尿道が変形したり、膀胱が伸びたりする骨盤臓器脱が起きている可能性もあります。

水分補給が欠かせない夏は頻尿に要注意!

特に夏は、頻尿に注意したいシーズンです。汗をかくため水分補給が頻繁になったり、暑さによって冷たい飲み物や食べ物をたくさん摂ってしまったりしますよね。また利尿作用があるアルコール、たくさんの水を飲んでしまう味の濃い食事や辛い食べ物など、夏に好まれるものは頻尿につながる条件がそろいやすいといえます。
もちろん、年中そういったものを飲んだり食べたりしている人もいると思いますが、そういった食事・生活習慣はUI(尿もれ)対策の敵になってしまいます。冷たいものやアルコールを頻繁に摂ることはできるだけ避けつつ、適度な水分補給を意識したいところです。

適度な水分補給は800ccから1,200cc程度

では、適切な水分補給とはどのくらいなのか、ということですね。1分間に1mlの尿が出るのがちょうどいいとされていて、24時間は1440分なので、1日あたり1,500ccくらいがほどよい尿量の目安になります。
食事に含まれる水分が800ccくらいなので、特別運動をしない生活習慣の人であれば、だいたい1,000cc前後、多くても1,200ccの水分補給で十分でしょう。家にいる時間が多いなど汗をかかないときは少し量を減らして800cc程度、また夏場は汗をかきやすいので、そのときには汗をかいた分をプラスして水分補給するのがいいですね。

頻尿改善につながる生活習慣改善のポイント

加えて、夏に限らず、頻尿にならないために気をつけたい生活習慣もご紹介しましょう。健康や美容のために生野菜フルーツを好んで食べる女性も多いと思いますが、これらはカリウムを多く含んでいます。
カリウムには膀胱を刺激する
作用があるため、摂りすぎると頻尿の要因になるといえます。また、甘いものは浸透圧利尿を引き起こします。
これは血液中の浸透圧が上がることで起こる利尿作用のことで、頻尿や切迫性尿失禁などの原因にもなります。もし、飲み物をたくさん摂ったわけではないのに頻尿だと感じている人は、このような生活習慣を振り返ってみてくださいね。