監修:泌尿器科医 東京女子医科大学附属足立医療センター 骨盤底機能再建診療部 泌尿器科 教授 巴 ひかる先生
【医師監修】最近トイレが近いかも…?原因を知って正しい対処法を
最近トイレが近くなったと感じますか? 頻尿やUI(尿もれ)といったトイレの悩みは、誰にでも起こり得るもの。
頻尿の原因は様々ですが、そのままにしておくと症状を悪化させてしまったり、病気のサインを見落としてしまうかもしれません。まずは自分の症状について正しく理解し、適切な対策を行いましょう。
日常生活から考えられる頻尿の原因
頻尿は、水分の摂りすぎや急な体温の低下などで起こりますが、病気が原因になっていることも少なくありません。自身の生活習慣や、身体の状態について考えてみましょう。
水分の摂りすぎ
コーヒーや紅茶、ビールといった利尿作用のある飲み物を摂取しすぎると頻尿になることがあります。頻繁に飲む習慣のある方は控えるようにしましょう。利尿作用がない飲み物の場合でも、飲みすぎると尿の量が増えて頻尿になることがあります。
緊張状態
外出前や、緊張していたり不安を抱えていたりすると、膀胱に尿が少ししかたまっていなくてもトイレに行きたくなります。ただ、このような頻尿は誰もが経験することですので、特に気にする必要はありません。
体温の低下
身体が冷えて寒さを感じると、膀胱が過敏に反応し、頻尿になることがあります。冬季はもちろん、夏季でも冷房の効いた場所に長時間いる場合は、身体を冷やさないように気をつけましょう。また冷たい水で手を洗ったり、水が流れる音を聞いたりするだけで、尿意をもよおすこともあります。
加齢による機能の低下
年齢を重ねると、膀胱にたいして尿がたまっていなくても、自分の意思とは関係なく膀胱の筋肉が収縮して急な尿意(尿意切迫感)を感じる「過活動膀胱」によって頻尿になることがあります。その頻度は40歳以上の女性の10.8%で、年齢とともに増加します。「過活動膀胱」の原因は、脳血管障害や脊椎の病気などのほか、骨盤底の緩みや動脈硬化も関係していると考えられています。
また、40歳以上では女性ホルモンが低下してくるため、外陰腟萎縮症をはじめとする性器症状や性交関連症状に加え、下部尿路症状も伴うことのある「閉経関連泌尿生殖器症候群」をきたし、頻尿になることがあります。
また、若い時は夜間に抗利尿ホルモン(脳下垂体後葉から分泌されるホルモンで、尿の量を減少させる働きをもつ)の分泌が増加することで夜間の尿量を抑え、夜中にトイレに起きることはありませんが、加齢により夜間の抗利尿ホルモンの分泌が減ると夜間多尿となり、夜間頻尿の原因となります。
頻尿やUI(尿もれ)の対処法
頻尿やUI(尿もれ)には様々な原因があり、病気でなくてもトイレが近くなる場合があります。それでもしょっちゅうトイレに行きたくなるのは大変ですよね。まずは、自分でできる対策を行ってみましょう。
生活習慣を変える
カフェインやアルコールの摂取を控えるとともに、食事では、味付けにも注意が必要。特に夕食では減塩を心がけましょう。塩分の摂りすぎで喉がかわくと、知らず知らず水分を多く摂ってしまうからです。
身体を冷やさないようにする
個人差はありますが、身体がから冷えると、尿意を感じやすくなります。そのためトイレに行く回数が増えてしまいます。
リラックスできる時間をつくる
また、気持ちをリラックスさせて、緊張を和らげる時間をつくりましょう。尿意を感じて不安になると、トイレのことばかり考えてさらに尿意が増す場合も。「いつでもトイレに行ける」とイメージし、自分を安心させることが大切です。
また、十分な睡眠も体調管理に重要です。寝る直前までスマホを見ていると自律神経をリラックスさせることができず、深い睡眠が得られないため、疲労回復が不十分となり日常生活に支障をきたすことがあります。規則正しい生活も心がけましょう。
骨盤庭筋トレーニングを取り入れる
骨盤底筋トレーニングを日常生活に取り入れてみましょう。骨盤底筋トレーニングは軽度のUI(尿もれ)の改善に役立ちます。さらに骨盤底強化への追加トレーニングとして「スクワット」「バードドッグ」などもあります。これらを毎日続けることで、頻尿やUI(尿もれ)の予防・改善に効果が期待できます。ただし、腹筋運動は骨盤底筋群に強い腹圧がかかり、傷めることになるので避けた方が良いでしょう。
★骨盤底筋トレーニングについてはこちらの記事もぜひお読みください。
心強いアイテムで、もっと快適に
もしもの場合に備えるならウィスパーの尿ケアパッドシリーズ。長時間の外出時などには、「うすさら安心」がおすすめです。容量が300ccまで選べるので量が多くても安心。さらに、新改良の安心ゾーンなら、しっかり吸収しながら気になるにおいをすぐに消臭。なにもつけていないような感覚になれるので、外出時もおうちでも、いつでもアクティブに自分らしく過ごしていただけます。
気になる症状がある場合は、専門医に相談を
頻尿は、すべてが病気というわけではありません。まずは頻尿対策のセルフケアとして、その原因と対処法を知り、日常生活の中で意識して取り入れてみてはいかがでしょうか。
気になる症状があるときは、早めに医師に相談しましょう。
………………………………………………………………………………………………
(プロフィール)
泌尿器科医 東京女子医科大学附属足立医療センター 骨盤底機能再建診療部 泌尿器科 教授 巴 ひかる先生
1983年、東京女子医科大学 医学部医学科卒業。同大泌尿器科等を経て、2011年より現職。日本泌尿器科学会専門医・指導医、日本排尿機能学会認定医、ロボット支援手術認定医、日本排尿機能学会理事、日本女性骨盤底医学会理事、日本骨盤臓器脱手術学会理事、日本性機能学会理事、日本間質性膀胱炎研究会幹事 ほか。